ブログ

残そう遺言・守ろう伴侶

「ご自宅が、ご自身の持っている最大の財産である」というご家庭は多いと思います。

私自身も、執筆時点で 実際にそうです。

今回は、自分が先に逝った場合、残した配偶者のことが 心配な方向けの記事です。

特に、多いであろうと想像される 次のケースを想定しています。

  1. 住居は夫名義
  2. 現金や預貯金は少ない
  3. 先立つ夫・残された妻
  4. 遺留分でモメて、自宅の売却→現金化を考える状況

この環境に置かれる可能性がある方には、ぜひにもお伝えしたい内容です。

キモはやはり、『遺言を書きましょう』という話

写真は行政書士事務所ヘーゼルナッツの近景。自宅を兼ねています。

 

「財産が少なければ相続でモメない」は、眉唾

以前紹介した、日本公証人連合会公式動画について もう一度 見てみましょう。

4:00ごろから、雲行きが 怪しくなります。

次男の妻(法定相続人ではない外野)が、遺産分割の方向性について クチバシを突っ込み始める場面。

現金や預貯金などの「分けやすい遺産」が少なく、自宅住居のような「分けられない遺産」が大半を占めると、ありがちな話です。

ここを皮切りに、長男と次男が「自宅」の取り扱いを巡って 反目しはじめます。

私が「うわ」と思ったのは、お母さんが居住している家について 「売って公平に分割しろ」、と次男が主張した際のシーン。

血を分けた肉親にも関わらず「そりゃヒドくないかい?💦」と焦ってしまいました。

お母さん、思い出の詰まった自宅に住めなくなり、途方に暮れてしまいますよね。

実の親子であっても、耳にすることのある悲しいこのケース。

相続人である子供が、例えば残されたお母さんの実子でなかったら・・・さて。どうなってしまうのでしょうか。

 

配偶者「短期」居住権で、とりあえずお母さんの住居確保

とりあえずの朗報があります。

あまりに悲しい悲劇から、残された配偶者を守ろうという機運が高まり、令和2年4月から法律が改正されました。

内容をおおざっぱに要約すると「故人と生前住んでいた自宅には、配偶者は少なくとも 半年は暮らすことが出来る」というルール。

だから、この動画のお母さんでしたら 少なくとも半年。

遺産分割協議が長引けば その分延長して、慣れ親しんだおうちに 住んでいることができます。

国が、残された配偶者が放り出される危険性について対策した、ということですね。

さぁ、これでメデタシメデタシ・・・でしょうか?

 

実はこの「お母さん」には、もう一つ権利が

お察しのとおりです。

「短期」というだけあって、とりあえず 身の振り方を考える「猶予」くらいにしかならないのは、皆さんも お分かりになると思います。

これでは、根本的な 悲劇の回避策に ならない💦

そこを見越して、令和2年4月のルール改正では、配偶者に「よく似てるけど・別モノの権利」を作り出しました!

それが「配偶者居住権」です。

短期の居住権とよく似た名前ですよね。短期じゃない分、期間が長いのでしょうか。

端的にいえば、そのとおりです。

お母さんには、住みたいだけ、願えば一生、このおうちに安心して住んでいられる権利があるのです。

ただし、ある条件のもとに。

その条件こそが「遺言」だとイメージしてもらったら、今回の記事の目的はほぼ達成です。

  • 配偶者「短期」居住権は、自動的にキープできる権利です。たとえ何もしなくても。
  • 配偶者居住権は、この場合「お父さんから遺言で居住権をお母さんに残すよ」という意思表示があった場合に確定します。

※相続人全員が納得すれば、お母さんの配偶者居住権は安泰です。が、動画ではモメてます・・・

だから繰り返します。

完璧でなくてもいいから、遺言は 書きましょう。

簡単でいいから、書きましょう。


注意事項

配偶者居住権を 遺産分割の目線で見つめるとき、「お母さん」にだけ メリットが生じるわけでもありません。

単純に「住む権利」を 故人の配偶者に確保しているだけです。

遺産分割については、書籍やホームページで 学習されていらっしゃる方も 多い昨今です。

しかし、配偶者居住権については、新しい概念だけあって 少し戸惑う場面も 想像できます。

また追加で、この制度についてご案内しますが、本当に「穏便に」故人の資産を 有意義に引き継ぎたいものです。

遺言にどのように記せばよいかについては、こちらでご相談に乗りますので、お困りでしたら一度おたずねください。

お問い合わせフォーム

関連記事

ページ上部へ戻る