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文化の秋2023

天高く馬肥える秋。

弊所の代表者も落ちない体重を落とすのに必死です。

朝食と昼食をしっかり食べて、夕食は抜くスタイルにシフトしております。

だいぶ慣れてきましたが、まだ体重は落ちてくれません・・・

 

さて、先日は出雲市に出向いて金剛流の能を観てきました。

金剛流という能の流派は、現在唯一京都市に本拠を置く流派で、派手なアクションが特徴的な一団です。

私も学生時代に京都観世会館で拝見したり、京都薪能で『泰山府君』など観世流に無い演目を観たりしました。

(中谷は観世流です)

 

今回は、出雲在住の能ファンのミセスからお誘いを受けて、車を飛ばして観能に出向いたところです。

他流ですので、さほど熱烈な動機が無い限りは普通出向かないのですが、今回は観たかった演目でした。

その名も『大蛇』🐍。

石見神楽では代名詞になってしまった演目ですが、能にもたぶん400年以上前からあるのです。

しかし、五つある流派の全てに伝わっているわけではなく、宝生流と金剛流、喜多流だけが伝えているということで、やはり見ておきたいなと。

私も『ガイドブック浜田の石見神楽』の執筆に関わった手前、観たことないじゃ恰好がつかない(^-^;

そんなわけで、出雲市民会館に運んだ次第。

ここは息子が中学生だったころ、吹奏楽の大会で来たことがありました。なつかしい思い出です。

島根県は、正規の規格の能舞台が存在しない県。

(江津市にある温泉リゾート風の国には、屋外にいちおうの能舞台があります)

昔はお医者さんの趣味と言えば、ゴルフに取って代わられる前は「謡」=能の脚本で声楽、だったのですが、昨今は高齢化で衰退の一途。

お客の入りは厳しいか・・・と予想していましたが、なんと開場一時間前には行列が出来るほどの盛況。

聴けば、出雲市は金剛流の盛んな土地柄ということで、お弟子筋もそれなりにいらっしゃるとか。

謡が盛んな土地。うらやましい限りです。

浜田市も負けじと25年近くがんばっていますが、なかなかブームが来ません(^-^;

 

『大蛇』拝見

13:30開演で、ほぼ17時までの催しとなった出雲公演。

一調『春日竜神』は見巧者向けの番組。初観能の方は戸惑ったかも?

半能『井筒』は宗家のご子息。序の舞でも足拍子が多く、やはり金剛流の能という感じ。

仕舞『砧』は「羊の歩み」から終曲まで。観世だと「砧之段」だからここでも違いを実感(なぜか型付けに載ってないんだけど)。

狂言『千鳥』は千三郎先生。私が1995年に初めて拝見した『仏師』以来、心のアイドルです(笑)お元気そうで何より。

元産経新聞の編集長さんをコーディネーターに据えて宗家と万九千神社の宮司さんとの鼎談。これは安全運転という感じでした。

で、眼目の大蛇。筋書きは浜田市民には不要ですが、クシナダヒメの子方さん(どうも男の子らしい)が2歳?3歳?とにかく小さくて可愛い(笑)

立っても座っても寸法が変わらない(;’∀’)

登場から客席は騒然(笑)あまりに小さくて可愛いものだから(^-^;

そして、素戔嗚尊を演じるワキ方の原先生(私の先輩)と「婚姻?」と、見所中が心の中で突っ込んだことも想像に難くなく(笑)

 

やはり見どころは後場の大蛇の泥酔シーンですが、「吞む」という所作を袖を使って上手に表現されていて(しかも2回も)、なるほどなぁ・・・と感じる舞働でした。

登場の際のお囃子も「出端かな?」と思っていたらまさかの早笛。

素戔嗚尊に仕留められる有様は存外あっさりで、橋掛かりをダッシュして退場したあと、ワキ留で終曲いたしました。金剛流の附祝言初めて聞いたな。

 

なかなか能の公演が無い島根県ですが、やはり県民の皆さんは「少し飢えている」と感じます。

大都市と違って、文化に接する機会があまりに少ない・・・

そんな島根県民にとって、文化を摂取するには文化庁の力を借りるしかない・・・!

能楽堂がないので能公演のハードルは本当に高いのですが、文化庁で小中学生を対象にした「巡回公演」という事業があります。

学校の先生方の時間確保その他もろもろのご協力が必要なのですが、食べたことのない料理の味を表現できないように、観たこと触れたことのない文化を子どもは言語化できません。

浜田市内でも、2012年から5年間ほど学校の協力を得ながら師匠の所属する一門(片山家)の巡回公演を実現させましたが、子供たちの反応のすごいこと!

(石見・長浜・国府・岡見・三階の各小学校にて)

文化って、モノカルチャーは危険だと思うのです。能だけがあればいいわけでもない。

バラエティに富んだ文化メニューを、子ども達だけでなく、大人にも届けなければいけない。ほんとうにそう思います。

巡回公演は、基本的に地域住民の観覧も歓迎しているので、地域にとっても大きな実り🌟

(これをまともに予算組んでやろうとしたら、1千万は固いんじゃないかな・・・)

長い文章になってしまいましたが、詰まるところ「公演はおいしい」だということです。

送り手が本気だして観てもらおうとしている「芸事」。

京阪神に出向くにも時間とお金が掛かります。

それを向こうから出向いてくださるという有難さ。

出向かないのは、もったいない。

そういったことを噛みしめた、出雲⇔浜田往復4時間のドライブでありました・・・

ほんまに早よ完成して山陰道💦

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