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ブログ
4.142023
残そう遺言・守ろう伴侶
「ご自宅が、ご自身の持っている最大の財産である」というご家庭は多いと思います。
私自身も、執筆時点で 実際にそうです。
今回は、自分が先に逝った場合、残した配偶者のことが 心配な方向けの記事です。
特に、多いであろうと想像される 次のケースを想定しています。
- 住居は夫名義
- 現金や預貯金は少ない
- 先立つ夫・残された妻
- 遺留分でモメて、自宅の売却→現金化を考える状況
この環境に置かれる可能性がある方には、ぜひにもお伝えしたい内容です。
キモはやはり、『遺言を書きましょう』という話。
写真は行政書士事務所ヘーゼルナッツの近景。自宅を兼ねています。
「財産が少なければ相続でモメない」は、眉唾
以前紹介した、日本公証人連合会公式動画について もう一度 見てみましょう。
4:00ごろから、雲行きが 怪しくなります。
次男の妻(法定相続人ではない外野)が、遺産分割の方向性について クチバシを突っ込み始める場面。
現金や預貯金などの「分けやすい遺産」が少なく、自宅住居のような「分けられない遺産」が大半を占めると、ありがちな話です。
ここを皮切りに、長男と次男が「自宅」の取り扱いを巡って 反目しはじめます。
私が「うわ」と思ったのは、お母さんが居住している家について 「売って公平に分割しろ」、と次男が主張した際のシーン。
血を分けた肉親にも関わらず「そりゃヒドくないかい?💦」と焦ってしまいました。
お母さん、思い出の詰まった自宅に住めなくなり、途方に暮れてしまいますよね。
実の親子であっても、耳にすることのある悲しいこのケース。
相続人である子供が、例えば残されたお母さんの実子でなかったら・・・さて。どうなってしまうのでしょうか。
配偶者「短期」居住権で、とりあえずお母さんの住居確保
とりあえずの朗報があります。
あまりに悲しい悲劇から、残された配偶者を守ろうという機運が高まり、令和2年4月から法律が改正されました。
内容をおおざっぱに要約すると「故人と生前住んでいた自宅には、配偶者は少なくとも 半年は暮らすことが出来る」というルール。
だから、この動画のお母さんでしたら 少なくとも半年。
遺産分割協議が長引けば その分延長して、慣れ親しんだおうちに 住んでいることができます。
国が、残された配偶者が放り出される危険性について対策した、ということですね。
さぁ、これでメデタシメデタシ・・・でしょうか?
実はこの「お母さん」には、もう一つ権利が
お察しのとおりです。
「短期」というだけあって、とりあえず 身の振り方を考える「猶予」くらいにしかならないのは、皆さんも お分かりになると思います。
これでは、根本的な 悲劇の回避策に ならない💦
そこを見越して、令和2年4月のルール改正では、配偶者に「よく似てるけど・別モノの権利」を作り出しました!
それが「配偶者居住権」です。
短期の居住権とよく似た名前ですよね。短期じゃない分、期間が長いのでしょうか。
端的にいえば、そのとおりです。
お母さんには、住みたいだけ、願えば一生、このおうちに安心して住んでいられる権利があるのです。
ただし、ある条件のもとに。
その条件こそが「遺言」だとイメージしてもらったら、今回の記事の目的はほぼ達成です。
- 配偶者「短期」居住権は、自動的にキープできる権利です。たとえ何もしなくても。
- 配偶者居住権は、この場合「お父さんから遺言で居住権をお母さんに残すよ」という意思表示があった場合に確定します。
※相続人全員が納得すれば、お母さんの配偶者居住権は安泰です。が、動画ではモメてます・・・
だから繰り返します。
完璧でなくてもいいから、遺言は 書きましょう。
簡単でいいから、書きましょう。
注意事項
配偶者居住権を 遺産分割の目線で見つめるとき、「お母さん」にだけ メリットが生じるわけでもありません。
単純に「住む権利」を 故人の配偶者に確保しているだけです。
遺産分割については、書籍やホームページで 学習されていらっしゃる方も 多い昨今です。
しかし、配偶者居住権については、新しい概念だけあって 少し戸惑う場面も 想像できます。
また追加で、この制度についてご案内しますが、本当に「穏便に」故人の資産を 有意義に引き継ぎたいものです。
遺言にどのように記せばよいかについては、こちらでご相談に乗りますので、お困りでしたら一度おたずねください。